『ごみ収集という仕事』 藤井誠一郎著
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危険と隣り合わせ 

 行政学者が九ヶ月にわたって新宿区のごみ収集を体験した記録と、その分析である。

まず読後の反省を忘れないうちに、明日から実践できる四項目を挙げておこう。

基本原則は清掃員を守るのは私たちである、ということだ。

 

 一、ごみの水分は十分に切っておく。燃焼しにくいこともあるが、なにより重い袋は清掃員の腰を痛め、

   圧縮されると水気が飛び道路も清掃員の衣服も汚す。ごみの臭いも強くなる。

 二、注射針、焼き鳥の串、スプレー缶、ライター、割れたガラスや陶器などは絶対に普通ごみに入れない。

   清掃員の手を貫き、指を切り、清掃車を燃やし、命を脅かす。

 三、袋はしっかり結ぶ。素早く収集車にごみを入れるために、持ち手は重要なポイントだ。

 四、もっとお礼の気持ちを伝える。清掃員が仕事のやりがいを感じるのは、住民に「いつもありがとうございます」

   「お疲れ様です」という挨拶をもらったときだという。

 

 本書は、ごみを収集する職人的な美技を堪能し、収集システムの中身を知り、労働環境を考え、

 ごみを分別し再利用する文明史的意味を考えるという、誠に贅沢ぜいたくな論点の宝庫である。

 とくに考えさせられたのは、清掃員たちの団結力であり、天候や渋滞、ごみの内容などに臨機応変に対応する熟練の技である。

 こんなにも難しく、仲間と深い一体感を感じられ、深奥な誇り高い仕事だったとは知らなかった。

 にもかかわらず民間委託が進むと、現場知と技が継承されにくくなる。

 休憩時には地べたで雑魚寝するような条件で働く委託作業員たちは、公共精神を発揮しづらくなり、

 それがサービスの劣化をもたらすという指摘は、傾聴に値する。

 また、不法投棄やごみ置場近辺の違法駐車など市民エゴが暴発するのもごみの領域である。

 不条理なクレームをつける相手を激昂げきこうさせないよう言葉を尽くすなど、危険と隣り合わせの清掃員の現実をもっと私たちは知るべきである。

(出典元:産廃WEB)


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