【シリーズ】川崎エコタウン Vol.4 ~川崎エコタウン リサイクル施設 昭和電工株式会社 ~
関東

業界の取組み

川崎エコタウンの資源リサイクル施設や取組を紹介するシリーズ企画。
 
今回のVol.4は、使用済みプラスチックからアンモニアを製造している昭和電工株式会社(以下 昭和電工)を訪問してきました。
 
 
昭和電工は、川崎市の「エコタウン構想」の一環として、2003年からKPR事業(KAWASAKI PLASTIC RECYCLE:
使用済みプラスチックのアンモニア原料化事業)をスタートしました。
 
 
使用済みプラスチックをガス化して水素が取り出せるKPRのガス化手法は、ごみ問題の解決と原料調達の多様化を両立できるプラントとして
当時から注目度が非常に高かったのですが、開発当初は安定稼働させることが出来ず大変苦労したようです。
何度も失敗し、いくつもの課題をクリアし、ようやく確立した技術は現在、アンモニア製造だけでなく、
水素ホテルなど新たな使用先のエネルギーとして、国内だけでなく他国からも注目されています。
 
 
 
 
 
■成形プラ製造ライン
 
 
今回設備をご案内頂いたのはプラスチックケミカルリサイクル推進室の竹田室長。
同社工場でリサイクルされているのは、容器包装リサイクル法(以下 容リ法)において、各自治体で回収された使用済みプラスチック。
 
容器包装リサイクル法についてはコチラ】
 
 
容リ法によって回収、圧縮梱包されたものをベールと呼び、1㎥、約250㎏のベールが、毎日800個運ばれてきます。
 
 
<ベールのストック及び投入ライン>
 
 
運ばれてきたベールは、そのままガス化炉に投入することはできないため、前処理として成形プラに加工するとのこと。
ベールはコンベアーにより破砕機に投入され、2-3cmくらいにカット。
缶詰などの金属が紛れ込んでいることもあり、異物が原因で成形中にトラブルで止まってしまうこともあるので、磁力選別機で異物を除去します。
 
 
過去には、ボーリングの球も入っていたことがあるようで、
竹田室長から「しっかり分別してもらうよう自治体に依頼しているが、中々減らない。安定したリサイクルを維持するためには
市民の皆様のご協力が不可欠です。」と話を聞き、筆者も改めてごみの分別はこれまで以上にしっかりやらなければならないと感じました。
 
 
 
 
異物を除去したあと、成型機に運ばれ、成形プラに加工され完成です。(成形プラのサイズは直径3cm長さ10cm程)
 
 
 
 
1日に約200トンものプラスチックを加工し、同敷地内にあるガス化プラントへ、専用車輌で運搬します。
 
 

■ガス化ライン
 
 
次に、成形プラの製造工場から5分程バスで敷地内を移動し、ガス化設備を見学しました。
 
 
 
こちらの設備は高さ約60メートルあり、20階のビルに匹敵するようです。天気のいい日は富士山やスカイツリーが見えるようです。
 
 
ガス化炉は、低温と高温の2種類があり、それぞれ2系列あり、合計4つ。外から見ることはできませんが、4階から7階の高さの位置にあります。
(訪問日は工事中で、丁度上階から荷物をクレーンで降ろしている最中でした。なかなか普段の工場見学では見られない光景とのこと。)
 
 
成型された使用済みプラスチックはまず低温ガス化炉に投入され、600度に熱せられた砂を循環する「流動床炉」で瞬時にガス化され、
異物は下に砂と一緒に回収、発生ガスは高温ガス炉へ。1400度の温度下において少量の酸素やスチームと反応し、水素、二酸化炭素を
主体とする合成ガスに。その後、ガス洗浄設備、CO転化設備、脱硫設備を経て、アンモニア製造設備へ送られます。
 
工程についての詳細はこちら。https://www.sdk.co.jp/kpr/process.html
 
 
KRPガス化プロセスを経て出来た合成ガスは、主にアンモニア製造の原料として使用されますが、KRPガス化プロセスが注目されているのは、
各プロセスで排出されたものすべてをリサイクルできる施設となっていることです。
 
 
・低温ガス化炉内に残った金属やガラスは回収され金属リサイクル品に。
 
・高温ガス化炉から排出されたスラグは路盤材の原料に。
 
 
上記のようにゼロエミッション型の完全ケミカルリサイクル施設となっています。
 
 

■川崎エコタウンとしての取組
 
 
ここからアンモニア製造現場の責任者である製造部 栗山次長にも同席して頂き、話を聞かせて頂きました。
 
 
ECOANNとは?
―KRPガス化設備で作られた合成ガスから製造した昭和電工製のアンモニアです。
 
 
ECOANNの現在の製造量は約6万トン/年だが、今後増やす予定はあるか?
―原料である成型プラの製造キャパが6万トンである為、増産するには他から成形プラを購入する必要がある。
ただし、安定した品質の成形プラの確保が難しく、現在は6万トンのまま。
 
 
近年はアンモニア製造だけでなく、他の用途として水素が注目されている?
―最近では東急REIホテルに水素を供給してホテルのエネルギーに活用してもらうなど、アンモニア製造以外での活用で脚光を浴びており、
マスコミからの問い合わせが増えている。更に、合成ガスから炭酸ガスを製造、飲料にも使用され、大手メーカーの認定工場となっているなど、
研究、進化を続けてまいります。
 
 
海外からの視察も年々増えている?
増えている。ただし、実際はプラスチックの確保からアンモニア製造までの一連の仕組みが必要となるため各国で導入までに至っていない。
 
 
人材確保(リクルート)について
毎年川崎市が主催している川崎国際環境技術展に出展し、KPR事業を他県、他国の方々に幅広く知ってもらうようアピールしている。
特に学生向けには力を入れており、自社の工場見学も随時受入れ、アンモニアの製造はもちろん、これからの新エネルギーとして注目されている
水素の製造など、資源循環型社会の形成に大きく貢献している現場であることを伝えている。少しでも化学を好きになってもらい、
将来多くの科学者が増えることを願っており、5年後10年後20年後、弊社に入社してくれれば、なお良しですね。
 
 
 
次回Vol.5では、同じく川崎エコタウンの資源リサイクル施設であるクレハ環境様に訪問しますので、お楽しみ。
 
 
 
 

KPRマスコットキャラクターの、けぴあ
 

 
 

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